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架空の町を想像力で存在せしめるスレッド

1 ::2006/07/07(金) 20:59:44
まず町の名前、歴史、気候風土などから決めていきましょうか

2 :jaeger:2006/07/07(金) 21:01:23
無歩町
昔誰も歩かなかったことからこの名前になった。
サバンナ地帯

3 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/07(金) 21:30:10
そんな無歩町に初めて定住し始めたのが、ムホ族の祖先であった。
ムホ族は太陽神を崇める少数部族であったが、紀元前8世紀には大王朝を築き上げるまでになった。
特に英明王ボルボの時代は、人口は数百万人に膨れ上がり、その文明は天をも脅かすものと恐れ崇められたのであった。


4 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/07(金) 21:46:21
そんなムホ族も2006年の現在は国際都市無歩町に住む少数民族であり
町の人口に占める割合はわずか3パーセントである。
近代以降は白人種の植民地になり、独立闘争を戦ったが、人口の殆どはムホ町郊外の難民キャンプで暮らしている。



5 :jaeger:2006/07/08(土) 19:22:15
ほんとごめん。
無歩町はやりにくいよな。
わけわからんし。


宇歩町

6 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/09(日) 13:23:50
うほっ!いい男

7 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/09(日) 14:22:07
せっかくみんな(?)我慢してたのに。

8 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/09(日) 20:41:01
>>5
同意。
俺はいっそのこと部落民にみたてて話を続けようかと思ったぐらいだ。
ブラックな方向に。

9 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/09(日) 21:26:26
■宇歩町
1954年4月、宇歩郡宇歩村、西宇歩村、二丁目村の三ヵ村が合併し誕生。面積28.7km~2。当時の人口は20,000人余り
町南西部の薔薇族島は江ノ島を思わせる観光地で、発展ポイントとしても有名。
町最盛期の80年代後半に人口36,000人となったが、94年に民間のリゾートが破綻してからは激減。
失業率は高い。
先日の町長選挙で共産党籍を持つ山田氏が当選し、町政建て直しを計る。

10 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/10(月) 18:39:41
一気に日本的にww

宇歩町の名物
 
・いい男祭り
毎年八月に三日通して行われる祭り。
「ウホッ」「ウホッ」の掛け声と共に、「いい男」に見立てた
黄金のツナギ男の像を神輿に乗せて男達が町を練り歩く。
その時参加していない男性たちは、彼らを見たら
「いい男ー!」と叫ばねばならない。
女性はフードを被り、神輿を避けて歩く事がルール。
宇歩大社では菊座に見立てた穴に蜜柑水をぶっかけ、
恋愛成就(男性のみ)を祈る。
女性はその様子を木陰からそっと見守る。
最終日ともなれば、大社に安置されていた幻の像、
「ベンチに座ったいい男」像が蔵出しされ、
男達にのみ満願成就を約束してくれる。
女はスルー。
最終日の終った後に何故か清掃業者が多大な利益を得ることも、
この祭りの凄さを物語っているといってもいいだろう。

因みに九月には「女人復讐祭り」というねぶたのような
山車が出てくる祭りが開催されるらしい。

男達が皆口を閉ざす所から、男性にとっては恐怖の祭りである
ことが知れる。
 


11 :10:2006/07/10(月) 23:18:43
忘れてた。
・男の中には「ベンチに座ったいい男」像から「やらないか」
 とお告げを賜るらしい。

……くだんねーなこれ……

12 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/15(土) 01:26:07
幼い時両親をアモル人に虐殺され、天涯孤独の身となったサメフはムホ町市内でタクシー運転手として生計を立てていた。
過激な民族主義者からは度々脅迫され、客であるアモル人には小突き回される毎日であったが、サメフは自分の生活に誇りをもっていたし
自分の境遇を呪うことは無かった。
敬虔なクフ教徒−今から1800年前に現われたベート地方の聖人が説いた教え−であった彼は、あらゆるマイナスの情念を齎す知識を信じなかった。
実際に、五年前のスッパダ戦争では愛する二人の兄を失っていた。
サメフは兄の命を奪ったのはアモル人の放った砲弾ではなく、彼らを戦争に駆り立てた忌まわしい記憶、実際には存在しない、憎しみを喚起する「知識」であると堅く信じていた。
滅ぼされるべきは、アモル人でもムホ族でもなく、これら、人間に破壊と闘争を齎す「記憶」或いは「認識」なのであると。
 

13 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/15(土) 01:26:42
 サメフは始業開始の15分前に職場に着くとタイムカードを押し、自動販売機で缶コーヒーを買った。
缶コーヒーには小さく「ダレット社」のマークが印刷がされて居た。ダレット社はアモル人が経営する世界最大規模の企業グループである。
アモル人政府に大規模な資金援助をしている事で有名でもあったが、そんなことは関係が無かった。
自分の飲んだコーヒーが兄の命を奪った銃弾に化けたなどという皮肉は考えは浮かばなかった。
そのような形而上的思考はクフの教えに反することであった。
重要なことは、コーヒーの味と今日の仕事の事だった。
サメフは昨夜主任のタヴルに頼まれて、仕事を休んでいる同僚に代わって町の東部方面を走ることになっていた。
東部は過激派のテロが頻発する危険地域で必ずベテランドライバーが担当する事になっていた。
仕事の変更を快く引き受けたサメフであったが、同僚のレイュがここ数日職場に姿を見せないことはやはり気がかりであった。
レイュはムホ族の出身の女性であった。
18からこの会社で働いている。常に職場での気配りを欠かさず、仕事も熱心で、同僚の尊敬も厚い。
サメフより年下であったが、3年前に見習いとして彼が入社したとき、手厚く仕事の指導に当たってくれたのもこのレイュであった。
4人の兄弟と年老いた両親を支え、夜遅くまで熱心に誠実に働くレイュをサメフは一人の人間として心より尊敬していた。
と同時に彼女に何かがあったのではないかと心配であった。
タヴルに尋ねると「何でもない、余計なことは考えるな」と例によってそっけも無い返事が返っていた。
サメフは「そうですね。確かに余計なことを聞きました」と言った感じで一呼吸置くと、肩をすくませ缶コーヒーをゴミ箱に投げて、駐車場に向かった。

14 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/15(土) 02:24:57
サメフは東部方面へ向かう自動車道を走らせながら、彼女のシルエットを思い浮かべた。
それは「ゆらぐ炎」であった。風雨にさらされ闇の中にただひとつ健気に燃え続ける光明であった。
この苦悩と憎悪、騙しあい、妬み、そういったありとあらゆる風雨から身を守ろうと必至に燃え続ける
赤い灯明であった。
サメフはその光を守る義務を感じた。
彼女の発する光を無慈悲にも踏みにじろうとする勢力−偉大なる聖人の教えによるとそんな「勢力」など存在しないのだ。
それは人間の心が生み出す幻影であるーから彼女を守ろうとそう考えるのであった。
サメフは「それはエゴイズムであろうか」と考えた。クフの教えによるとエゴイズムこそ人類に破壊と闘争を齎す最大の悪徳であった。
再びサメフはクフの教えに立ち返りこう考えた。
彼女の発する光を踏みにじろうとする勢力があるとしたら、結局はそれも彼女自身なのだ。
己に出来ることは彼女の勝利を祈ることでしかない。
サメフは知っていた。彼女の苦悩を。彼女の苦悩とは、光の消滅なのだ。
彼女は彼女自身そのものが燃える光であり、ただ燃え続けることが彼女の使命であることを知らない。
悪魔の手が彼女の炎をそっと消し去ろうとするその行為を彼女は黙認し、闇こそがその本質であったかのように、振舞うのだとしたら。
サメフは自分の考えを恐ろしいと思った。
レイュは苦闘している。その苦闘から彼女を救い出す事が出来るとしたらサメフ自身が彼女のともし火となることだ。そのように気負った観念を抱いた。
しかしそういった観念はサメフにある種の苦痛を齎した。それゆえ、サメフはその観念を打ち消したのだった。
そうして、サメフは仕事帰りに「クルヘ」(牛肉をパイ皮で包んだムホ町の代表的な郷土料理)を買って、レイュのアパートを訪ねたのだった。


15 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/15(土) 02:56:34
スッパダ戦争の英雄バルガ

バルガは12年続いたスッパダ戦争でゲリラ戦を展開し、ムホ族に貴重な勝利を齎した民族的英雄であった。
実際、バルガの奮闘によって、町の南部地域のムホ族の定住圏を認めさせる形で停戦合意にこぎつけたのであった。
300年にわたるアムル人とムホ族の戦争で唯一の一方的勝利を齎したのであった。
ムホ族は太陽神ラミがこの世に使わした戦術的天才を大いに讃えた。
太陽を象徴する鷲の紋章をはためかせたバルガの機械化歩兵軍団に大陸全土からムホ族の若者が義勇兵として殺到した。
天をつく勢いとはまさにこのことであった。
アモル人はこの事態に危機感を覚えた。
町の南部にはなんと数百万のムホ族の義勇兵が結集していたのであった。
幾らアムル人が世界に誇る空挺部隊を保有しているとはいえ、領土であるムホ町ごと爆弾で焼き払うわけにも行かない。
蟻の様に群がるムホ族の連中を追い払うことは出来ないか。
そこで、ダレット社の総帥ラゥムはムホ族への食糧支援の停止を自国の議会に働きかけた。
効果は抜群で、三年もすると餓死者続出の事態となり、ダレット社最大の危機は乗り越えられた。
ダレット社はムホ町周辺に広大な石油利権を保有しており、アムル人政府にムホ町の支配から手を引かせる訳には行かないのであった。



16 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/15(土) 03:27:20
バルガは困惑した。
全世界40地域に散らばる4000万人のムホ族の頂点に立ち、再び、太陽神を奉じた古代皇帝政治を実現しようと目論む
バルガの計画は、ダレット社の策謀により完全に挫折した。
バルガは歯噛みして悔しがったが後の祭りである。
バルガは報復として、また己の権威を誇示する為にもダレット社総帥ラゥム暗殺を企てたのであった。
暗殺者はムホ族の秘密軍事組織メサ(赤い風)の精鋭部隊から選ばれた。
ァルア(蠍)と言う男であった。ギメリア国首相暗殺事件にも関与し、実際に首相をライフルで暗殺した実行犯であった。
その仕事は神の領域であり、ムホ族過激派はこういった暗殺者を多数養成していた。
その中でもトップの技量を持つのがァルアであった。
ただ、「メサ」は独立の過激派集団であり、方向性の違いからかつてはバルガと対立したことすらあった。
彼らにはまったく戦略性というものが無く、ただひたすら破壊と殺戮だけを目的とする、ムホ族内部でも異質な、別の言い方をすれば「持て余し気味の」集団であった。
何度も何度も有利に漕ぎ着けた和平交渉を彼らの独断専行でご破算にさせられた記憶がある。
「メサ」に借りは作りたくはなかったがそうも言ってられまい。





17 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/15(土) 03:29:26
  
        
            不思議だろう?
 
 

18 :名無し物書き@推敲中?:2006/07/15(土) 03:37:19
宇歩町開基

黄泉を渡り比良坂を越えた神武は彼の地に二人の男と一人の女を置く。
汝ら海を越えし邪共を討つべし。
汝ら鬼を払う桃の祖。桃を姓に冠するとて苦しからず。
桃を姓に置く彼らと彼女はその地に住まい、渡来せりし物の怪共を討つ。

いざ子を成し末裔までも坂を反さん。をとこは云った。もう一人は我も成さんと云った。
彼らは一人のをんなをの手を掴み左右から引っ張る。をんなは二つに裂けた。
をとこは云う。嗚呼なんということぞ、子は最早成るまい。
もう一人は応える。をんな居らずとて、神代よりのこの身、子を成すこと成らざらんや。
此処にてをとこ二人交わり、彼の地に桃の子現る。


なんつーか激しく知識の無駄遣い。

19 :18:2006/07/15(土) 03:43:11
ヽ(´ー`)ノ みんな島根県好きでしょ?

20 :18:2006/07/15(土) 04:51:25
宇歩町観光案内 「冶羅内台地臨時飛行場」

これは出雲大社守備のために構築された急造飛行場である。
比島陥落後、沖縄までも落ちる、本土決戦もありえると予想した陸軍首脳陣の指示により、
沖縄と出雲大社の中間地にある冶羅内山地に構築されたのがこれである。

戦とは相手の意思を折り自身の意思を通すことである。
そして、他人の意思と尊厳を奪うためには、他人の信仰やシンボルを破壊するのがよい。
そのため、米軍が出雲を爆撃する可能性はあると日本陸軍首脳陣は考えていた。
これに対抗するため冶羅内台地に、ローラーで転圧しただけの空港が設定された。
彼の地には1万mにまで達し、B-29及び随伴護衛機との交戦が可能な二式単座「鍾馗」、
夜戦でのB-29抑止性能を認められた二式複座「屠龍」が配備された。
しかし二発の原爆により終戦となり、急造飛行場は他の急造飛行場同様に任務を終えた。

米軍による本土占領の際、この飛行場では性交渉を行なう男性がしばしば目撃されていた。
そのため、この飛行場はハッテン場としてしばしば用いられるようになった。

ちなみにこの飛行場は、一度負の遺産として世界遺産登録の申請が成されたものの、
あまりに下品すぎるので却下された。

酔った勢い且つ今日休みだからヤケクソで書いた。だが反省はしていない。


21 :名無し物書き@推敲中?:2006/09/01(金) 14:49:37
  
  
            働 け 無 職 残 飯 
 
 

22 :名無し物書き@推敲中?:2006/09/23(土) 23:34:48
アスペルガー残飯、諦めて働け。おまえに小説は無理だって。
 
 
 
 

23 :名無し物書き@推敲中?:2006/09/24(日) 13:27:32
のび家の隣は磯野家である。その隣は桜家である。

24 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 01:47:26

キャッスルズロックで巨大なセントバーナードが
こうもりに鼻を噛まれたころ、ここ岩城村では
夜が明けようとしていた。

東の空が群青に染まり
ほどなく夏の太陽が村を染め上げるころ
斉藤家のゴールデンレトリーバーは
眼を覚まし高原の寒さにブルっと体を震わせると
牧場に向かって駆け出した。
牧草の朝露に体を濡らしながら彼は、いつものように
自身のしなやかな四肢を確かめるように
走ることの喜びを感じていた。






25 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 02:24:13

ジャンプしステップし獲物に狙いを定めるように
身をかがめると縮めた肢を一気に解き放ち
また太陽に向かってジャンプすると
満足そうに咆哮した。


生まれて二年目の若い彼はすべてが
美しくすべてが新鮮だった。
太陽もまたそれに答えるように
新しいエネルギーを彼に与えていた。


その時、彼の前方に地中から突き出た
弓形に輝く金属片の一部を発見した。

あたりは普段、彼の来ない牧場が森に変わる
人気の無い寂しい場所だった。
心配そうに主人のいる家のほうを
振り返ると無人の牧場がただ広がっているだけだった

彼に一瞬、いいようの無い
不安が体を抜けていったが
好奇心旺盛な彼は不思議そうに、その光に近づくと
前足で引っかいてみる。
すると人間の聞こえない高周波の音がわずかに
聞こえるのに気づいた。
彼は耳をピンとはりさらに金属片を
引っかく。


26 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 03:29:16

健二は開け放った窓から聞こえる
ジョジョの鳴き声で眼を覚ました。
時計を見ればまだ6時になったばかりだ。

ージョジョかな?まったくもう・・・−

そのまま寝過ごそうとしたが
いつまでも鳴き続ける
いつもと違う、様子に次第に心配になり
ジャージをはくとTシャツのまま階段をおり
家を飛び出した。

両親は東京に旅行に出かけていた。



27 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 03:49:51

ジョジョの遊びに使うボールを
蹴飛ばしながら牧場を声のするほうに
歩いていった。
サンダルに朝露が心地よかった。
彼はステップを踏んでサッカー選手の真似をすると
大きくボールを蹴りだし走り出した。
ボールは大きく弧を描いて犬のほうに飛んでいった


「ジョジョ。うるさいよお前」

犬は木の根元に向かって一心不乱に吼えている。
はじめは、犬の様子に呆れていた
健二も近づくにつれ只事で無いと思い始めていた。
歯を剥き出してくちびるが捲くれ上がっている。
普段見せない顔だ。こんな顔の犬は
映画の中でしか見たことが無い。

健二も、また意味もなくさっき犬がしたように
後ろを振り返る。
寒気がした。これは朝の寒さだと思い込もうとした時
犬が吼えるものを発見した。
それは、銀色のフリスビーが埋まって一部が地上に
顔を覗かせたように例えるのが一番に思える形をしていたが
バナナのようにも見えた。
そう思った瞬間、達也にバナナと言ったら爆笑するなと思い
健二の腹筋もがくがくして爆笑の発作を
起こしそうになった


28 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 04:02:16

押さえ込んだ爆笑と恐怖が同居していた。

ーこの恐怖はなんだ?−

考えろ。この金属片は何だ?
お前は、こんなも不思議な光り方する
金属片を見たことがあるか?
今まで見た、ものにこの
形を当てはめてみろ。
いや、俺はこんな形のものは見たこと無い
車のバンパー?そんなものが、ここに
埋まっているのか?人を呼ぶか?
こんな時に旅行に行ってるなんて!くそ!

恐怖が足を伝って体に上ってくるようだった。
恐怖は皮膚を覆い、血液に乗って
全身を駆け巡る。

ーおしっこ、ちびったら笑われるぞー

どうすりゃいい?ちびったってかまうもんか。

健二は、いつのまにか吼えるのをやめている
ジョジョを見下ろす。そして
屈んで背中を撫でてやった。
頭の片隅で人間と犬も交流できるもんかな?
と考えていた。一瞬ではあったが
ジョジョと眼が合った瞬間心のつながりがあった気がした。


29 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 04:24:28
健二は犬を連れてすっかり朝の空気が消え、セミが鳴き始めた
牧場を横断する時
何度も、何かが追って気やしないかと
後ろを振り返った。

彼は勇気を振り絞ると
彼は森に入ると手ごろな棒を見つけ
金属片を掘ってみたのだ。
パンドラのふたを開ける様な恐怖だけがそこにあった。

ーお前のしてることをきっとこの先、後悔するぞ。
やめておけ、やめておけー

脳の一部はそう、語り続けていた。
それでも健二はやめなかった。
畜生、そんなのただの思い過ごしさ。
そんなのにびびってどうする?
この弱虫。そんな葛藤をしながらでも
脳は声を上げるのをやめなかった。

ーやめろ。棒を捨てて、見なかったことにして
家に帰れー

健二は、その声を無視した。
ビニールのプールほどの穴を
掘ってもまだ金属片が地下深くに続いているのを
確認した時、諦めて手を止めた。
それは未知の機械の部品の一部のようでもあり
巨大な恐竜の金属で出来た骨のようでもあった。



30 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 04:34:41

夢の世界から起きたように
ぱっと現実に帰ると自分のしたことを
まじまじと見つめ頭を振った。

ーこりゃいったいなんだ?−

犬の顔を見ても答えは無かった。
健二はジョジョの背中を叩くと放心状態のまま
家に向かって歩き出した。
手が汚かったので牧草に手をつけタオル代わりに
こすった。
心臓がどきどきする。またしても寒気がした。
風邪をひいたのだろうか?
彼は牧場の中心まで来ると、立ち止まり
森のほうを見つめる。
あのすぐ下に金属片があるはずだ。
健二は迷っていた。埋めなおしたほうがいいんじゃないか?
根拠の無い罪悪感、そんなものが
彼の心に浮かんでくる。神様の何か人間の想像も及ばない
何かを俺は掘り起こしちゃったんじゃないか?

ー埋めようー

健二は今来た道を戻り始めた。
なぜか眼に涙が浮かびはじめていた。
悲しみだろうか?喜び?怒り?
生まれて経験したことの無い感情が
渦巻いている。朝が始まったばかりだというのに
40kmもマラソンした気分だった。
心身ともに疲れ果ててこのまま、牧草に横になりたかった。


31 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 04:49:51

彼は台所の電話の前で30分以上
受話器を取ったりまた置いたりを繰り返していた。
電話しなきゃいけない。じゃあ、なんていえばいい?

牧場の隅に金属製のバナナを発見しました。
ええ、UFOかもしれませんよ。
きっとおおごとです。きちがいの戯言と処理したら
あなたは大目玉を食らうはずです。
はい。ほら、信用してない・・・

たかが金属片じゃないか・・・
間違ってたら間違ってたでいい。
こんな田舎の警察官も暇だろうし、ちょっとした
夏の怪談だ。

ようやく俺は最後までダイヤルを回して
ふもとの町にある警察署に電話した。
手のひらの汗で受話器を落としそうになった。
それでも、呼び出し音が鳴り始めたとき
どう説明したらいいか言葉を失ってしまいそうになる
自分を発見した。




32 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 05:43:21

牛が草を食んでいる。
いつも見慣れた様子が奇妙に歪んで見える。

「なんか飲む?」

俺は並んで家の前のポーチ(それは
どこか外国の家並みの真似をして父が
買ったものだったが、日本の糞田舎の牧場の
村には、全く似合っていなかった。
ということもなく、何となく居心地がよく
緑の牧草に白いポーチは心が休まった)に座って
さっき電話で呼んだ隣の達也に聞いた。

「コーヒー。くだされ」

ーああコーヒーねー
これまた、外国かぶれの母親が買った
どこかの国の直輸入の豆とミルでひきドリップした
コーヒーが達也のお気に入りだった。
遊びに来るたび俺が作ってやってる。



33 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 05:55:22

「もう一回電話したら?」

達也がコーヒーカップを地面に置き
待ちくたびれたように俺に言う。

「う〜ん。じゃ電話するよ」

と携帯を取り出したとき坂の下から黒と白の
見慣れた車が来た。
安心すると同時に緊張した。立ち上がり
手を上げ合図すると、こんなことで、電話してよかったんだろうか?
という思いが浮上する。

パトカーは俺の家の前でエンジンを切ると
警察官が姿を現した。

「君が斉藤くん?」

そう斉藤家の健二です。
けんちゃんって呼んでね。
冗談も言えるまで落ち着いた。
もちろん心の中で言っただけだが・・・






34 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 06:09:31

胸にどこかで聞いたマーチが
鳴っていたが金属片に近づくにつれ
足の動きが鈍くなるのを押さえることが出来なかった。

「ほんとに怖いんですよ」

足を止めた俺を
呆れた表情で見る警官に向かって
弁護するようにそういった。
それでも、やがて動き出した足を
引きずるようにして金属片の前まで来た。
朝見たときは光っていたが今は木の陰に入って
近づかなければわからないほど目立たなくなっていた。

ーこうやって、人目に触れず何十年もここにあったのだろうか?−

警察官と達也と俺。ジョジョもあわせて
4人で俺が一度生めた土を掘り起こし始めた。
ジョジョは興奮して駆け回ってるだけだったけど。




35 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 06:28:01

「松田さん。こりゃいったい何なんでしょう?」
河合と呼ばれていた人は汗を拭きながら
上司と思われる松田さんに聞いている。

松田さんは、それには答えず
人を埋められるほど大きく開いた穴の
際にたち、冷たく光り続ける金属片を見下ろしている。

4人に沈黙がやってきて、夏の暑さと認知を超えた
恐怖による?寒さの奇妙な二重の感覚に包まれたまま
そこにたち続ける。セミが鳴いている。

やがて松田さんが制服のポケットからタバコを
取り出すとライターを使って火をつけた。
手が震えているのは穴を掘った筋肉の痺れだけではないはずだ。


「河合。俺は怖い・・・健二君の言った言葉の意味が
分かる気がする・・・ああ・・・」

俺は松田さんを見、河合さんを見た。
二人とも恐怖を感じているのは明らかだった。

それにしても制服を着た警察官がタバコを吸うのを見るのはおかしな
ものだなあ・・・と一瞬考えた。
しかし、その日常から外れた行為が
さらに、ことの非現実さを浮き彫りにしあらためて恐怖が
俺の思い違いでないことを確認したのだった。



36 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 06:38:22

「署に連絡しよう」

松田さんが、そういって場を救うと
俺は達也の行方を眼で追った。

眼を見開いたまま金縛りにあったように
前後に揺れている達也の目の前で
手をひらひらさせる。

「達也!」

こりゃ大変だぞ。
われに返った達也の体を支えながら思った。
ー世界を終わらせないでくれー

自分が思ったことの恐ろしさと、なんでそんなことを
思ったのかと身震いしながら歩き始めた警官のあとを追った。

ジョジョが俺を見つめている。

ージョジョー

彼が人間だったら俺は助けてくれと泣きついたろう。
彼も同じだったに違いない。
その顔は人間の顔そっくりの表情をしていた。
今にも言葉を発しそうに見えて、笑ってしまった。
ー相棒。気分はどうだい?−


37 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 07:01:19

うん。別に大丈夫。パトカーが5,6台来てる。
自衛隊も来るらしい。鈴木さん(村の中心人物)
も来てるよ。・・・今から?うん。わかった。
携帯でも台所の電話でも・・・はい。じゃあ。わかったわかった


俺は両親への電話を切ると
放心状態の達也と達也の両親が座るテーブルを見つめた。
俺は彼を巻き込んじゃったのか?

彼にかける言葉を捜しながらテーブルに近づいた。
窓から差し込む赤く点滅する光がストロボのように
部屋中で光っている。それは、いつか見た
ハリウッド映画に似ていた。でも、これは映画ではないし
エンディングでもないだろう・・・たぶん。
俺は窓を一度見ると達也の両親の横に立った。

「すぐ帰ってくるみたいです」

「そう」

沈黙に耐えながら椅子に座った。
ーごめんー
心の中でそうつぶやいた。



38 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 07:20:21

俺はパトカーが並ぶ中に部下に指揮をする
松田さんを見つけたので
玄関を閉め、聞きにいった。

「これから、どうなるんですか?」

「自衛隊と大学の研究者がやってくるはずです。
私にも分からない人が沢山来てこの辺は
にぎやかになるでしょう。
さっき、健二君がした説明を何回もしなきゃ
いけないことになるかもしれないけど
よろしくおねがいしますね。ところで御両親に電話しましたか?」

「ええ、多分、夕方には帰ってくると思います」

パトカーに寄りかかってひとりの警官が
長靴の泥を落としている。
どこまで、掘ったのだろうか?
スコップも同じように泥まみれだ。

「僕は近づいちゃいけませんか?」

「先のことは分からないけど、今は私が
許可します。ただし見るだけにしておいてください。
・・・健二君。これはもちろんニュースになる。
長野のローカルじゃなく、全国ネットでね。
健二君の言ったUFOという説は有力だよ。
信じる部下はそういうし信じてない部下は顔をしかめてる。
私は、なにか分からんけどね・・・」



39 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 21:08:15
村では戦争が始まりつつあるのだろうか?


牧場は自衛隊と機動隊の重機や
名の知らないタイヤのついた甲殻虫のような
車両と簡易的なテントで出来た建物で埋め尽くされた
間を人々が歩き回っているのが見える。

土を掘り起こす音と土を運ぶダンプの音
怒号と人を指示する低い声と拡声器で増幅された声が
山にこだまする。

目の前の牧場が終わるアスファルトの道路にはバリケードが張られ
迷彩服を着た男たちがTVのクルーたちに睨みをきかせていた。

それでも熱心な、あるいは大衆の力に支持された
TVクルーたちは自ら動き、照明をたき
コードを伸ばし、中継車の屋根に上り
綺麗な服を着たキャスター達がマイクを持ち
夕方のニュースの準備をしている。






40 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 21:11:49
ほとんどの住人が避難させられた村で
俺と両親ほか何名かの村人は牧場前の
俺の家、一箇所に集められインタビューや
事情聴取など入れ替わり立ち代り様々な人間の質問に答えていた。
俺も、このあとのニュースに第一発見者兼住人として
インタビューを受けるだろう。
でも、事態は僕の手をもう離れてしまっている。
金属片は、どうなったのだろう?
松田さんの姿も見えない。

誰も何も言わずただただ目の前を映したTVの
画面を見て答えの無い疑問の答えを探そうとしていた。

窓の外にTV局の人がおじぎをするのが見えた。
俺のインタビューがはじまるのだ。

41 :名無し物書き@推敲中? :2006/12/01(金) 21:26:10
イェーイ、山田見てるー!

42 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 21:32:31

TVの出演が終わり家に戻ると
松田さんと両親、鈴木さんと名前の知らない
村人がテーブルでお茶を飲んでいる。
みんな疲れきって途方に暮れている様子だ。
自分たちの手で何か出来るわけでもないし
考えて分かるわけでもない。
そういう意味では、誘拐に似てなくも無かった。

「健二。ふもとに旅館予約してくださってるみたいだけど
ここにいる?」

どうしよう?
ふもとに下りれば静かなベッドで寝ることが出来るだろう。
でも俺は、ここにいたかった。
最初に発見した、俺のいや俺とジョジョから始まった
事態を見届けたかったのだ。
もちろん、まだ怖さの余韻が独りになるとやってきた。
トイレで座ってるとそれはやってきた。
あるいは、インタビューをされている最中でも
ふと気づくと深い割れ目に落ちてしまって
相手の声が遠くに聞こえるように感じ
落ちていった暗闇の中に何かの気配を感じるのだった。






43 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/01(金) 21:34:48
それはいったいなんなのだろう?
俺が近づこうとすると、ふっと消える気がした。
でも、それを感じてる時は不思議に恐怖はなく
心地よささえ感じた。
それは、たぶん完全に別の世界に行ってしまってるからなのだろう。
現実とあっちの世界の間でのみ恐怖は発生する。

あっちの世界。何時間前から俺の胸に
去来するキーワードになっている。
あっちの世界。暗闇の中のもの。気配。

知りたくない現実が無意識の奥にあるのが見える気がした。

UFO

宇宙人?まさか・・・




44 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/01(金) 21:36:10

>>24-43 ken

>>41を除くw


45 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 21:46:05

パソコンを立ち上げようか?
2ちゃんねるを見たかったが、くだらない荒らしと
憶測に基づいた曖昧な事実に振り回された
人たちを見るのは気が進まなかった。

何スレぐらい消費しただろう?
100?500?今世紀最大のお祭りの
真っ最中に当事者として参加する喜びは
たまらなく魅力的だったが、グレイのモニターを眺めると
やはりスイッチを入れることは出来なかった。

携帯に達也からのメッセージが入っている。
電話しよう。声が聞きたかった。

46 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/01(金) 22:02:42

うん。ああ・・・変な顔に映っていた?
いやそりゃいいよ。筑紫哲也も来てる。
あのアナウンサーなんだっけ・・・菊ちゃん
あの人も見たよ。うん・・・

俺は電話が終わると元気そうな達也の声で
元気をもらえ、またしてもパソコンの誘惑に捕らえられそうになった。
ーどうしよう?−
まあ、いざとなったら消せばいいさ。名無しで参加しよう。
俺はパソコンの電源を入れた。
起動音がし、ハードディスクをチェックする音が聞こえ
ショートカットをクリックし
見覚えのある、どこか懐かしいブラウザ画面を見たとき
興奮の波が消えブラウザを閉じた。
やはり無理だった。俺はネットワークし今の自分から逃げようとしているだけなのだ。
対峙しなくてはならない。それはパソコンではなく自分自身と
眼に見えない何かだ。
俺は自分の部屋を飛び出しジョジョを探しにいった。




47 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/01(金) 22:20:44


窓を閉めカーテンを引きクーラーを入れても
なお外の喧騒は部屋に入り込む。
カーテンはスクリーンのように
幾何学模様を写している。

我慢して眠ろうとするがだめだった。
何度も寝返りをうち枕の匂いをかぎ眠ろうとする
努力と反対に眼がさえてくるのを確認したころ
時計を見た。夜中の2時になっていた。

階段を下りると電気の消えた一階の
しんとした空気の中に同じように眠れず
テーブルの下にうずくまっている
ジョジョを発見した。うれしそうに尻尾を振った。

俺は照明はつけずにTVだけつけ
冷蔵庫から麦茶を取り出すとコップに注いで
ジョジョの皿の水も替えてやってから
麦茶を飲みつつテーブルに座った。




48 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 22:30:17

ベッドに入る前に見た
同じような映像が繰り返し映っていた。
バリケードの中に入ることの許された何人かの
カメラマンによる照明に照らされて
巨大な銀色の恐竜の化石のように輝く、その物体は
地球のものでないことは明らかだった。
まさか、大掛かりないたずらなわけでもあるまい。
でも、それを見ても不思議なほど
平静でいられた。なぜだろう?
もうショーのひとつになってしまったからだろうか?

俗悪な見世物レベルまで落ち大衆の好奇心を
刺激するだけの映像。

いや、そんなことは無いはずだと思い
見直しても四角い箱の中ではすべてが彩られ
着色されデコレートされたお菓子だった。
それでも見ないわけにはいかなかった。
当事者としての自分が、これではない
伝え方を間違っているだけだと警告していた。
いったい何に?掘り返されたことを怒った宇宙人が
攻めてくるとでも言うのか?
そうなる前に国民にショーではなくリアルな世界の一部だと
訓練ではなく本番だと伝える必要があると感じていた
起きろ!スナック菓子を食ってる場合じゃないんだ!
しかし怒りはすぐに消えていく。
あきらめと苛立ち。
俺は静かに眼を閉じた。足にはジョジョの毛が触れていた。


49 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/01(金) 22:47:16


すべての暴力と欲望に満ちた世界の
映像の再生が終わったあと、その声は聞こえてきた。

ー健二君。今、君が見たのはこの先、地球で起こる
本当の出来事だよ。どうだい?人間の姿を見たかい?
こんなことが、これから先もずっと続くのさ。
何を感じる?君が終わりにしようと思えば出来るんだよ
そのスイッチを押すだけでいいー


俺は宇宙に浮かぶ丸い地球の姿の見ている。
手元には不思議な機械の
一部に点灯するスイッチがあった。


ーそう、そのスイッチだ。それを押せばすべてが終わるー

すべてとは?君はいったい誰なんだ?

ー私はわかるだろう?君が掘り起こしたUFO
そう地球の言葉で言うUFOに乗る宇宙人だよ。
すべてとは、すべてさ。君が押せば終わる
この暴力に満ちた世界がねー




50 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/01(金) 23:03:51

俺は理解した。
掘り出した宇宙船に乗せられ
宇宙から地球を見下ろしているのだ。
すべてを終わらせる?
こいつは、いったい何を言っているんだ?

そう思った時、映像が再生された。
暴力、血、涙、絶望、暗黒暗黒暗黒・・・
銃声、悲鳴、痛み、痛み、
どこかの国で兵隊が銃の照準を合わせる
いじめ、自殺、賄賂、利権、欲望
万華鏡のように何億もの暴力のイメージが同時に
再生される

やめてくれ!

ーいや。私はやめない。君に本当の
人間の姿というものを認知して欲しいんだ。
君は何も分かっていない。何もねー








51 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/01(金) 23:09:37

その脳内に再生される映像は地球の未来のことなのだ。
そして俺は、それを止める力を与えられている。
止める?止めるとはなんだ?地球を破壊するということか?

ー私は何もかも君に教えられるわけではないのだよ。
健二君、悪いけどね。ただ君には、その世界をとめる事が出来る
そして考えることが出来るということだー

俺は発狂するのか?
体はいくつもの麻薬を打たれたように
膨張し収縮し緊張の山を越えるとまた緊張の山を登り始めた。
寒さと熱さが同時に皮膚を這い回り始めた。
膝の力が抜けた。

俺がいったい何をしたっていうんだ・・・

ー知ること。見ること。判断することー

俺は、すべてから開放されるためにスイッチに
手をかけた。
許してくれ・・・


52 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/01(金) 23:19:16


なつかしい草の匂いがした。
どこかで母の声がし目を凝らすと
父、母、友人、ジョジョ、学校の先生たち、村の仲間
俺の好きな同級生の由紀、そして死んだ妹、名の知らぬ人の姿が見えた。
みんな楽しそうに俺に向かって手を振って
微笑んでいた。

《俺もそこに行きたい》

足が動かなかった。打ち付けられた柱のように
体はいうことを聞かなかった。

《助けてくれ》

声が頭の中でエコーする。
涙が溢れて皆がにじんだ。おーいおーい。

春の草原の中の暖かな光の中で
皆はなおも微笑んでいる。

俺は死ぬのか?みんな?俺は死んでしまうのか?

53 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/01(金) 23:26:29


ーさあ。押すんだ。早く押しなさい。
私を待たせるな・・・−

宇宙人の声が大きくなりそして小さくなるのが
分かった時、俺は気を失なうのだと理解した。
もう何も出来ない。もう何も・・・

その瞬間、深い闇がやってきた。
落下していく浮遊感に包まれた時
すべてを放り出しなすがままにゆだねた。







54 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/01(金) 23:39:04


秋の夕日は美しい。
健二は、また思った。
枯れきった牧草の上に座り
ススキの枝を手のひらに転がしながら
見るともなく隣の達也を見る。

「俺には、今は理解できないけど・・・」

いいさ。俺にだって分からない。
あの日、つけっぱなしのTVのあるダイニングで
テーブルに座ったまま
朝、目が覚めると外では謎の金属が消えたと大騒ぎになっていた。


そして時がたつにつれ一人また一人と人は山をおり
村は静けさを取り戻し
松田さんが俺に別れの挨拶をしたころ最初の秋の風が
吹き始めた。




55 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/01(金) 23:46:07

俺は達也の肩に頭を乗せ言う。

「由紀に告白しようと思う」

「えっ?」

「いや、なんでもない」

俺は立ち上がると尻についた牧草を払った。

「人生って何だ?」

俺は突然顔をつくってそういった。

ふと森のほうを見ると、あの夏の日、掘り返された土の山が乾き
夕日を反射している。

「人生とは・・・」

その先は風に掻き消えた。俺自身にも聞こえなかった。
答えは秋の夕日の中、風に乗って山の彼方に飛んでいった。
俺はそれを追う事もしなかった。太陽を見ていたかったから。



おわり




56 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 06:31:32

「ちゃんとライトつけて運転しないと危ないよ」

警察官は自転車を止めると加奈の顔を確認するように
懐中電灯を向けた。

ライトを点けるとペダルが重くなるのが
嫌で加奈はあまりライトを点けない。
日曜日にママに電池付のライトを買ってと頼んでおいたのに
ママは買い忘れたのだ。

加奈は自転車を降りると警察官に謝る。

「ごめんなさい。急いでたから」

「急いでたら、なおさらライト点けないといけないでしょ?」

警察官は屈みこんでフレームの防犯登録を確認
しようとした顔を上げてそう言った。
加奈は泣きたくなった。お腹が空いていた。
塾で一生懸命、勉強してたんだと言いたかった。
でもこの警察官はそんなこと言っても
分かってくれないだろう。

「う〜ん、シールが剥げてるなあ
ちょっとこっち来てくれる?」

警察官が指差した公園の奥に一台の
白い自転車が止まっている。
加奈は、嫌な顔をしたかったが我慢した。
警察官の機嫌を損ねたくなかった。


57 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 07:05:45
「お父さん、加奈ちゃん塾の帰りに
行方不明になったんだって」

テレビを見ている
パパの箸を持つ手が止まった。

「加奈ちゃんって、レナが4年生の時
友達だった加奈ちゃん?」

「そう。今日のお昼、保護者会で学校に
行ってきたのよ」

「・・・」

「まだ何も分からないみたいだけど・・・
事故なのか・・・何なのか・・・」

居間でテレビを見ているレナに
パパとママの会話が聞こえてきた。
レナは無心でタラコのぬいぐるみを抱きかかえてる。

ーかなちゃんかなちゃんかなちゃんー

今日、学校に行くとパトカーが止まっていた。
朝礼の日じゃないのに校庭に集合させられ
校長先生の話の後、警察官が台に上った。

「一人で帰るのは絶対にやめましょう。
携帯電話を持ってる人は学校に持ってきても
かまいませんから、何かあった時は
すぐお母さんか110番に電話しましょう」

58 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 07:06:42
レナと妹のハルカには不思議な力があった。
レナ本人も、よく自覚してない。第六感。
パパもママも本当は気づいてないはず。
聞こえない音が聞こえ、見えないものが見えた。

一度、ママに話したらそういうことは
言ってはいけないと言われた。
「そういうこと」が冗談だと思われ冗談を言っては
いけないということなのか、他人に「みえないもの」
を言うのがいけないのか、わからなかったが
ママに怒られるのが怖いので、それっきり話さなかった。

でも、子供部屋ではハルカと二人でおばけごっこをやっている。
二人が人形で遊んでると勝手に人形が
動くことがあった。その時、ママに気づかれないように
いつまでも遊んでいた・・・


59 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 22:27:08
ーミナちゃん、ミナちゃん教えて
加奈ちゃんは、どうしたのー

レナはTVは見ずに眼を閉じ
タラコのぬいぐるみを抱きしめると頭の中に問いかける。


何ヶ月か前、いつものようにハルカと二人で人形遊びをしてた時、
ふいにレナの頭の中に声が響いてきた。
冬の風が強い日に外を見ていると
口笛を吹くように電線が鳴く。そんな音。
頭のどこか奥の方から、その声は聞こえてくる。

《私はミナ。よろしくね》

ハルカは小さな叫び声をあげて
手から滑り落ちそうになった
人形を持ち抱えまじまじと人形の眼を見ている。
その様子を見て声が聞こえたのが自分だけじゃないと
確認したレナはハルカの隣に寄り添った。
ハルカは眼を大きく開けてレナを見つめる。

「お姉ちゃん・・・」

私の顔もびっくりしてたのだろう。


60 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 22:28:21
次の日、朝のニュースを見ても
加奈ちゃんのことは何も伝えてなかったけど
ママの車に乗ってハルカと学校のそばで降りた時
校門の前には白いお皿のようなアンテナのついた
車が何台も止まっていて
テレビ局の人たちとマイクを持ったアナウンサー
リポーターが同級生にインタビューをしていた。

そして今日も朝礼があった。
けれど、いつもの校庭じゃなく寒い体育館に集まると
校長先生は暗い顔で両親に車で送り迎えの
させてもらえる人は車で学校に来ても良いし
友達を誘って一緒に乗ってきても
良いということだった。加奈ちゃんのことは
何も言わなかったけどまだ行方が分からないのだろう。
警察官が上り、暗くなったら外に出ないように。
塾はなるべく行かないように。と言った。

教室に戻ると変質者のしわざ。
と言った男子と達也君が喧嘩をし始めた。
その後、先生が来る前に皆で喧嘩をやめさせたけど
その日ずっと教室は暗いままだった。
先生も加奈ちゃんの行方は何も言わなかった。


61 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 22:29:26
冬の曇り空が何日か続いたの同じ週の
金曜日の夜にまた事件が起こった。
加奈ちゃんと同じように塾の帰り道に
隣町の女の子が行方不明になって
後にはそれもまた同じに自転車だけが残された。


62 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 22:30:45
「ハルカ?寝てる?」

その日の夜パパとママの長い話の後
私はコンセントに挿された小さな
ルームライトの明かりの中、私は布団から頭だけ出して
壁の反対側のハルカを呼ぶ。

暗闇の中、オレンジ色に照らされた
布団が動きハルカが、こっちを向いた。

「ミナちゃん、覚えてる?」

ハルカがうなずいたので
私は話を続けた。

「わたし、ミナちゃんが何か教えてくれるような
気がするの・・・加奈ちゃんのこと・・・」

「おねえちゃん。ミナちゃんは想像の女の子で
実際にはいないんだよ。ママも言ってたよ」


63 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 22:32:38
「ハルカ、また聞いたの?」

ハルカはうなずく。前に一度ママに聞いて
怒られたのにハルカは、また聞いたのだ。
私は不安になって問いただす。

「ママ、怒ってた?」

「少し・・・」

私は、しばらく考えためらった後、意を決して
ハルカに言う。

「このことは、ママに言っちゃだめだけど
ミナちゃんが、頭にいる感じが加奈ちゃんが
いなくなってからずっとしてるの。
だから、ミナちゃんは何か伝えたがってるのよ
ハルカには、そんな感じしないの?」

ハルカは困っているようにレナのことを
見つめているだけだったけど
やがて話し出した。

「私も同じだよ。でもママに怒られるよ」

その後も暗闇の中で話を続けたけど
ハルカも何も分からないようだった。
私は話が終わったとも
しばらく眠れずに風の唸りを聞いていた。



64 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 23:08:10
たらこたらこたっぷりたらこ

「それ」は警察官の体を抜け出すと
家路を急ぐ一人の若いサラリーマンに目をつけた。

たらこたらこたっぷりたらこ

「それ」は夜道に光る自動販売機の前でコーヒーを
買おうとサラリーマンが足を止めたとき
その体を乗っ取った。「それ」は
新しい洋服を体に馴染ませるように
サラリーマンの体を震わせると落ちてきた
コーヒーをつかんで闇の中に消えた。
どこかで犬の吼えた声が聞こえたがサラリーマンが
眼を向けると犬は自分の小屋へ情けない声を
あげて戻っていった。

報道規制が解かれた後、ニュースや
ワイドショーでは連日連夜、この得体の知れぬ
行方不明事件について報道したが
誰も何ひとつ分からなかった。
変質者、事故、東北で起こった親による事件。
北朝鮮の新たなる連れ去り

65 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 23:28:01
相変わらずの曇り空の下、この町では
皆が息を潜めて暮らしているようだった。
町の外には子供たちの遊ぶ声が消え
大人たちも必要な時以外は外に出なくなった。
報道の関係者の派手な車が通った後には
通りには高く積もった落ち葉がうずたかく舞い上がった。

レナも口数が減り窓の外を良く見つめるようになった。
義務教育者は登校が希望者だけになり
やがて冬休みを前倒しして長期休暇に入った。

66 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 00:42:06
レナはママへの伝言をテーブルに置くと
急ぎ足でハルカをつれて教会に向かう。

ーレナ。ハルカ。教会に行ってー

ミナがそう言っている。
レナは自分が何をしに行くのか分からなかった。
今回の事件の核心にせまることをミナが
教えてくれるのだろうということは感じた。

クリスマスイブの近い街角はこんな事件が続いた後でも
華やいでいた。いや、一時でも忘れるために
人々はよりいっそう盛り上げようとしてるのだろうか?
駅前に続くイルミネーションの輪の中を
くぐりながらレナはそう思う。

「ハルカ。迷子になっちゃだめよ。
レナの手を握っててね」

67 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 00:42:52
町外れの教会の駐車場には大きなモミの木があって
色とりどりのライトが光っている。
レナとハルカは一瞬、美しさに見とれて
木を見上げると夜空からこの冬初めての
雪が二人の頬に落ちて消えた。


68 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 00:43:26
「メリークリスマス!」

教会の重い木のドアを開けると祭壇に立つ
神父の格好をした「それ」が立っていた。
神父はステンドグラスの高さまでジャンプすると
一回転してバージンロードに降り立った。

「子供を返して」

レナがそう言うと、神父はゆっくり微笑みながら
距離を縮めて歩いてきた。
その時、レナの後ろのドアを抜けて光の玉のような風が入ってきた。
ミナがやってきたのだ。

ミナがフォノグラムのように光を反射させながら
レナの上に浮いている。

それを見ても神父は微笑むばかりだ。


69 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 00:44:21
「レナ、ハルカ。そしてミカ。
世の中にはいろいろなことがあるもんだよ
いろんなことが。
レナは暴力を知ってるかい?
クラスに苛められてる子はいないかい?
レナ。人間は暴力が大好きなんだよ。
それが無くっちゃ生きていけないんだ。
人間が人間であるために必要なことなのさ。
・・・いや。否定しなくてもいい。
君が大人になれば分かること。
俺達も・・・そう「それ」と呼ばれる
俺達もずっと昔からここに、君達の言葉で言う
「地球」にいて、レナ、ハルカ君達の
おばあちゃんやおじいちゃん・・・いや
人間が言葉を持つずっと前からね。
生きていくために、必要なんだ。女の子の持つ
エネルギーが。それが我々の糧になる。
それを暴力と呼ぶなら呼べばいい。
でも、レナ・・・ステーキは好きかい?
牛がどんな風に殺されていくか知ってるかい?」

そう言うと神父は倒れ口から形の無い影のような
ものを吐き出すと影はゆっくり立ち上り
教会の天井に消えていった。


70 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 04:31:45

《だいじょうぶ?レナ、ハルカ?》

ミカが二人の頭にそう語りかける。
二人は頭上に静かに揺れている光の玉がういている。


「ミカ。「それ」が言ったことは、ほんとなの?」

今、レナとハルカの頭の中には一人の女の子の
姿がある。(この子がミカなんだわ)
レナは今まで声しか聞いていなかったミカが
初めて自分の前に姿を現してくれたことに不思議な感動と
なぜか懐かしい思いで見つめている。

《ええ。でも「それ」が言う言葉は
人間の言葉に置き換えてるだけだからレナちゃんが
理解するものとはちょっと違うかもしれない・・・
・・・きっと二人には難しいことよね・・・》

71 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 04:32:44
ミカは私と同じぐらいの年齢なのにずいぶん
難しいことを言うなあ、レナはそう思う。
それからなんだか寒い。家を出る時に湧き上がっていた
勇気が何故だか急に小さくなり元気がみなぎっていた体も凍えるようだ。

「ハルカ。だいじょうぶ?」

荒い息を吐く音に気づいてレナはハルカのほうをむく。
ハルカの様子がおかしかった。
眼には生気が無くなり顔がダンボールのように
白くなって青い唇からカタカタ歯を鳴らす音が聞こえる。

ー大変だー

レナはハルカをおんぶすると教会を後にした。
道々を行く時の人々が振り返る視線も気にならなかった。
やっとの思いでマンションのエレベーターに乗り
家に着くとママとパパの慌てる様子を見ながら
力尽きたレナもその場に倒れこんだ。
倒れる一瞬、ハルカをここまでおんぶしたことに
自分でびっくりした。


72 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 10:30:28
熱にうなされて、体中の骨が凍り息を吐くのも辛い。
目の奥がしょぼしょぼして額が熱かった。
しばらく眼を閉じて覚醒と眠りの
森の中を抜けると体が幸福感に満たされた安らかな感覚があり
眼を開けると私のベッドのそばで座っているのママと
ベッドで寝ている自分とレナの姿を見下ろしていた。

ー私は浮いてる?−

その時、ミナの声がした。

《ハルカ。こっちよ。幽体離脱っていうの
心配しなくて大丈夫だから》

窓の外にミナがいる。何か言っている
こっちに来いというの?
私は自分のそばを離れるのが怖かった。ミナは何者なんだろう?
夢なのに(夢なんでしょ?)不思議と恐怖感があった。
ミナは笑顔を向けて飛んでくると私の手を取って
そのまま、閉じた窓を抜けてマンションの外に出た。
恐怖で口の中に叫び声がせりあがってくると
ミカは私の背中をさすり、
ごめんねでも心配しないで、と言う。

73 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 10:32:58
そのまま体が風船にでもなったように
重さを感じぬまま、ぐんぐん空を上っていくと
町はだんだん小さくなり、いつか行った沖縄旅行の
飛行機の窓の外の風景のように町が大きな
クリスマスイルミネーションのようになり
雲を抜けてハルカが止まった。
見上げると綺麗な月が浮いていた。


「ここはどこ?」

《ハルカの住む町のずっと上のほう。
ほら、雲の間から向こうにビルの明かりが見えるでしょ?
あれが新宿の副都心》

ハルカにはこれが夢なのか現実なのか
分からなかったが、黙っていることにした。
これはたぶん現実なのだ。それを知るのが怖かった。
なんで自分は浮いているのだろう?
死んじゃったのか?ミカは何者なんだろう?
それがずっと頭にこびり付いている。
信じていいの?悪者じゃないの?
ミカの顔をじっと見る。


74 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 10:34:22
《私はハルカのママの妹。ずっとずっと昔のね》

ハルカは眼を丸くして、ミカの顔を見つめる。

ーこの人は私の心を読んだー

《びっくりさせてごめんね・・・
ハルカに聞いて欲しいことがあるの。
すぐ終わるからちゃんと聞いてね。
私のお墓・・・うん、私は死んでるの。
でも怖がらないでハルカちゃんはママに会えるし友達にも会える
ハルカちゃんは死んでないから。

私のお墓が群馬にあるんだけど、うんお母さんに聞けば分かるわ
そこにお母さんとお父さんとレナとハルカで来てお墓参りを
して欲しいの、それでお線香を上げて欲しいの。
その時、般若心経をお墓に供えて。
忘れないで般若心経を供えるの・・・分かった?》

「般若心経・・・」

《そう、忘れないで

75 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 10:34:57
4人は大きな杉の木が鬱蒼とするお寺の下にある道路に
車を止めると御花とジュース、お菓子、ママとミナが
好きだった少女漫画、線香
それと般若心経を持って降り立った。

車の中でママの話しを聞いた。
ここはママの生まれた村。
ママの小学生の時の妹で不思議な力を持っていたけど
自殺してしまったミナちゃん。
レナとハルカが人形が動いたことを言った時
怒ったのはそのせい。ごめんねと言ってレナとハルカを抱きしめた。
その時ママが泣いた。ごめんねママ。あやまるのは私。


ハルカが線香を供えた時、杉の木の間に
光る玉が見えた。ゆっくり杉の木々の間を
くぐりぬけてくるとお墓の周りをまわっている。
ママとパパがびっくりしている。

「ミナ。元気だった?」

ママがそういってまた涙を流した。

76 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 10:35:37
お墓参りの後、夜遅くなって
高速を降りマンションが近くなったころ
レナとハルカの頭に声が聞こえた。

《小学校に行って、これが最後よ。
レナ、ハルカ。お墓参りありがとう。
二人にあえてうれしかった。ママにもよろしくね。
漫画楽しみに読むから。そう伝えて》



影が空から降ってきた。
校庭の真ん中で私達4人とミナで待ち受ける。

「「それ」よ。自分の世界に帰りなさい。
私がこれをあげるわ」

そう言うとミナは般若心経を読み出した。
影が渦巻いている。ニュースで見る台風の
衛星写真のように学校をすっぽり飲み込むような
大きな渦が速度を上げて渦巻く。
校庭の砂が舞い上がり4人の顔にぶつかり
眼を閉じる。落ち葉の落ちた植樹が
右に左に渦に巻き込まれそうに揺れている。
誰かの仕舞い忘れたサッカーボールが
渦の中心に飲み込まれていった。

77 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 10:51:52
「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空・・・」

渦が強さを増した渦に4人は手をつなぎ
座り込んで飛ばされないようにお互いを支えあいながら
ミナの言葉を聞いている。

渦の中から触手のような細い腕のような影が伸びてきて
レナとハルカの体に絡みつくと腕が分裂し
二人を包み込んだ。

「レナ!ハルカ!」

風の強さでママとパパは目を開けていられず
繋いだ手で必死に影を振り落とそうとする。
洋服がはためきばたばたと音を出している。


78 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 10:54:19
「やめるんだ!」

「レナ!」「ハルカ!」

「心無礙 無礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想・・・」

舞い上がり渦に巻き込まれそうになるレナとハルカを
ナイフのように形を変えた光のミナが
影を断ち切る。

「能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪」

大きな光の玉になったミナは
ドーム状になると4人の体を覆った。
それでも影は光を吸い込み穴の開いた部分を
さらに広げ、二人を吸い込もうとする。
それを止める光。激しい風の中4人は気を失いそうになりながら
必死に耐え終わるのを待っている。


79 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 10:55:12
風がやみ、静けさが戻ってきた。
校庭に散乱した落ち葉の中で4人は目を開ける。

「ミナ。これで終わりにしてやる
お前はレナとハルカの体を変えたな?」

二人は顔を見合わせる。

ー変えたってなんだろう?−

「だがな。俺達はただ戻るだけだ。またいつかこの世界にやってくる。
レナとハルカの子供が生まれるころ。俺達はきっと帰ってくる
その意味を考えろ」

そう言うと渦はちぎれ夜の中に消えた。


80 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 10:56:00
《みんな。大丈夫?》

ミナが光の玉に戻ってレナとハルカの
頭に問いかける。

二人は大丈夫と言うようにうなずいた。
4人は立ち上がり、あたりの光景を
見回して今更ながら驚いている。

「なんだったんだ?あれは?」

パパがとんちんかんなな様子に
みんなが笑った。

「ねえミナ?体を変えたって何?」

ハルカがミナを見上げて聞いた。

81 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 10:57:47
《お母さんに聞いてみて。お月様が来る体にしたの。「それ」は
そういう子供は必要ないから》

首をかしげてハルカがママに振り返る。

「ママ、ミナがお月様が来る体にしたって言うけど
お月様って何?」

レナはハルカの頭を小突く。

「馬鹿ねえ、お化粧してもいいってこと。」

ママがうなずいた。

ーママ。泣かないで・・・−

レナはそう心の中でつぶやくと校庭を駆け出した。


おわり


82 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/14(木) 11:15:52
「加奈ちゃん見つかったみたい。
お庭で倒れたんですって・・・
衰弱していて、助かるかどうか分からないけど
今、病院に入院してるんですって」

私がたらこのぬいぐるみを抱きながら
テレビを見ているとパパとママの話す声が聞こえてきた。
あの日、以来ミナの声も聞こえないし
人形も動かなくなってしまったけど
いつかきっと会えると信じている。
「それ」が言った私がお母さんになったときに
また現れると言う言葉。
それを思い出すと泣きたくなるけど
今はそんなことを考えても仕方ないし
どうかできると言うことでもない。
その時はハルカと力を合わそう。

「ねえ!レナ!お見舞いに行くの?」

ママが私を呼んでいる。
ありがとうミナ。また会おうね。

私はぬいぐるみをソファに置いて立ち上がる。

ーもう、ぬいぐるみは卒業かな?−

たらこのぬいぐるみを見てそう思った。

エピローグ おわり

83 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/14(木) 11:17:55

神様、般若心経を
軽々しくつかってごめんなさい

84 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2006/12/14(木) 11:37:58
すんまそん。
文中のミカというのはミナの間違いです。
キグルミの女の子と不気味な曲から
この話は生まれました。読んでくれてありがとう。



85 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/13(土) 21:40:10
hossyu


86 :ken ◆r7Y88Tobf2 :2007/02/12(月) 23:08:54
ぱくっちゃイヤよ

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